豊穣の角の覚書

マンガのお仕事をしていた頃 &今の暮らし あれこれ

夜行性のデメリット

まんがを描く作業は

人それぞれではあるけれど 基本的に夜型の場合が多い

 

アシスタント先では

早朝 ゴミを出してから就寝

スケジュールが切羽詰まっていなければ昼過ぎ起床

7時間前後の睡眠時間

 

通常なら充分な睡眠が取れるところだけれど

昼夜逆転で時差ボケに似た状況になっており

なかなか寝付けないこともままあった

 

他の人の安眠を妨げるわけにいかないので 本を読んだりテレビを観たりするわけにもいかず 眠気が訪れるまで目を閉じてじっと待つ

 

眠れる時に寝ておかないと

追い込みに入った時が辛くなると思うと緊張してさらに眠れず

ハーブティーから寝酒まで 効きそうなものは全部試したけれど ほとんど効果は無し

 

一時期 無駄にお酒に強くなった

 

さらに 仕事が長期に及んで2週間近く閉じこもっていると 

季節が移り変わってしまい 木枯らし吹く中 半袖のカットソーで帰宅したり

蕾だった桜がすっかり散ってしまっていたり

 

非日常性が楽しくもあった反面 世の中から取り残されるような寂しさもあった

仕事関係以外の友人と会う機会が減ったのも だんだん辛くなってくる

 

アシスタントを始めてから時間が経つにつれ その寂しさが焦慮に変わる

 

専業アシスタントになったばかりの頃より 多少は作画のスキルは上がり

大抵のマンガ雑誌編集部が設けていた新人賞に応募したり 出版社に原稿を持ち込んだりしてみたが突破口は開かない

 

夜行性の暮らしを続けながら

プロの漫画家になるのは無理だろうな と心の底では諦めていたと思う

 

今 思うと 昼でも出来るのに あえて夜に作業する理由が思いつかない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハンドメイドというより工作

趣味で

アクセサリーを作っている

 

物作りは 絵を描く時と 同じ脳の場所を使っている気がする

 

イメージを形にする時

資材の大きさや色を選ぶ時

似てるな と

 

 

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ハンドメイド系のイベントに出店もしているけれど

コロナ以降 自粛中

 

イベントは 多勢の人と会って あれこれおしゃべりしたり 試着していただいたり と とても楽しいけれど

今は我慢がまん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

個性の問題

ときどき通る道

広めの駐車場に陣取っている

おっきな黒トラの猫がいる

 

手に届く範囲には近寄ってこないけれど

気づかず通り過ぎようとすると一声鳴いて 注意を引いてくれる

元気そうだね と心で返す

 

 

それがある時

こちらに気づいている様子なのに

よそよそしく目を逸らした

警戒と緊張で姿勢が硬い

 

不審に思いつつ通り過ぎてから

人間にいじめられでもしたのか と思いあたり 気持ちが沈んだ

 

もしそんなことがあったなら

そういう人間が 今も近くにいるかもしれない

 

 

しばらくして 

また 短い鳴き声を聞いた

 

反射的に目をやって びっくり

 

えええーーー

 

2匹いるー⁉️

 

体型も毛皮の色もそっくりな 黒トラ猫が2匹

いつもの駐車場に 1メートルほど距離を置いて並んでいた

多分きょうだい

 

片方は こちらの顔を見上げていて

もう一方は 目を逸らして 

 

態度が変わった訳では無かったんだー!

力 抜けちゃうー

よかった

 

 

でもやっぱり外は危険が多い

外飼いなのか 散歩中の家猫か

はたまた野良なのか判然としないけれど

 

コロナ禍で交通量が減った道路で乱暴な運転の車も増えてる

 

気をつけて

どうか無事で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久々の電話

「もしもし」

地を這うような低い声 無愛想な応答

 

作業の進み具合を探ってくる編集者に対して張った予防線だ

 

「まだそんなことしてるんですか⁉︎」

呆れ半分 懐かしさ半分で笑って問えば

「ああ!」 なんだ君か と声のトーンが跳ね上がった

 

一転して早口で話す陽気な声

話の内容は何も伝わってこなかったが楽しそうだ

 

そこで目が覚めた

 

夢の中で 彼岸に電話をかけていたのだ

 

思い返して 私は少し安堵した

 

前触れもなく 手がけていた原稿もそのままにして逝ってしまったのだ

心残りや未練があったのではないかと心配だったが

どうやら向こうに行っても描いているらしい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然 家にやってくる

ちょっと前 自宅のFAX電話の留守録に

中年女性の声で

『ナニガシおじさん 亡くなったんだってー

電話くださーい』

とメッセージ

 

心当たりは全く無い

 

『亡くなった』ではなく 『死んだんだって』と言っていたような気がする

そういう気がするような声と口調だった

 

その後 連日 「電話くださーい」という不機嫌な声で

あるいは 無言で切れるメッセージが残されるようになった

 

ダイアルを使っているらしい

 

こちらが在宅している時間帯にはかかってこない

 

仕事の連絡が入るので 電源を抜くわけにもいかず 仕方ないので留守電メッセージを自分で吹きこんで はい◯◯です と冒頭でこちらが名乗るようにしたら ようやくかかって来なくなった

 

 

昨日 朝 8時ごろ

どこかで固定電話の呼び出し音が鳴り

なんとなく数えていたらきっかり20回

 

近所の店舗か事務所にかかってきた間違い電話だろうけれど 週末の朝 緊急事態宣言も相まって 常より静かなので音はよく響く

 

何度もかかってきたら嫌だなあ と思ったけれど

今のところ それきりだ

 

 

昭和の頃 自宅の「プッシュホン」に 蕎麦屋の出前を頼む間違い電話が 何度も何度もかかってきた

 

やはり中年女性の声で

 

◯◯蕎麦さん?

違います

ガチャッ

 

母と散歩に出て 自宅から少し離れた 普段通った事のない道で

その◯◯蕎麦 の店舗を発見した

ここかー!

番号は たしかに我が家のものとよく似ていた

 

電話くださーい と

◯◯蕎麦さん?

 

言葉の調子も 声自体もよく似ている

似ているような気がする だけではあろうけど

 

同一人物だったら怖いなあ(笑)

 

さらに くだんのFAX電話には

一度 海外からの間違いFAXが届いた

日本で働いている誰かに宛てたクリスマスのメッセージが手書きの英語でびっしり

 

当て先も書いてない事だけ確認して 本文は見ないようにしてシュレッダーに

楽しみに待っているんだろうな と気の毒に思ったけれどどうしようも無い

 

ガラケーが普及した頃 どこにいても連絡が来るのはプライバシーが保てないから嫌だ と言う人がいたけれど

固定電話だって間違い電話はかかってくる

セールスや詐欺も横行している

 

便利だし必要だけれど 

正体のわからぬモノが 一方的にアクセスしてくる可能性がある

 

ホラーの題材や小道具向きでもある